2010年10月号
真似ない、値下げしない、振り回されない
CoCo壱番屋創業者が
自分の直感を貫き続けた理由
株式会社壱番屋
創業者特別顧問 宗次 徳二(むねつぐ とくじ)氏
今月のマンスリーリーダー
宗次 徳二(むねつぐ とくじ)
お客様第一主義、現場第一主義。
多くの経営者やビジネスマンは、このような言葉を耳にしたとき
「そうは言っても、現実はそうはいかない」
「そんなことで売上が上がるのか?」
と、疑心暗鬼になるのではないでしょうか。
しかし、お客様第一主義、現場第一主義を貫き通して、
今や全国に1200店もあり、
「日本人でこの味とお店を知らない人はいないのでは?」
と思えるほどの成長と発展を遂げた
カレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次徳二氏の言葉となると、
重みが違います。
宗次氏が奥様と一緒にはじめた喫茶店は、
今では世界に広がっています。
繁栄の秘訣はどこに隠されているのでしょうか。
実は、優れた価格戦略をたてたわけでも、
マーケティング調査を入念に行ったでもないのです。
市場調査やライバル調査は一切なし。
値引きもキャンペーンもほとんどしない。
発想と行動の源泉は、常にお客様の顔を見ること。
そのために、代表取締役だった当時も、宗次氏はお店に行って皿洗いをしていたそうです。
なぜライバルが気になるのか?
ライバルや業界全体が値下げをすると値下げをするお店が増えるのか?
それは、周りばかり気にして現場とお客様を見ていないからだ!
宗次氏はそう断言しています。
対談インタビューを聞いて、経営者としての「素直な発想と行動」
そして「これだけは絶対にやり続ける!根拠がなくても信じきる信念!」
その両方を持ち合わせているのが宗次氏だと感じました。
私も経営者として、お客様と現場を大事にする必要があることを改めて痛感させられました。
お金をかけずにやれることはまだまだある。
本対談を聞けば、忘れてしまいがちな大切な発見と
気づきを得ることができるでしょう。
(平間 正彦)
プロフィール
宗次 徳二(むねつぐ とくじ)
株式会社壱番屋 創業者特別顧問
1948年、石川県生まれ。愛知県立小牧高等学校卒業後、八洲開発株式会社を経て、1970年大和ハウス工業株式会社に入社。1973年に独立し、岩倉沿線土地(不動産業)を開業する。1974年、喫茶店「バッカス」開業。
1978年1月、カレーハウスCoCo壱番屋を創業する。1982年に株式会社壱番屋を設立し、代表取締役社長に就任。1998年、同社代表取締役会長に就任。2002年に同役職を引退し、創業者特別顧問となる。 2003年、NPOイエロー・エンジェルを設立し、理事長に就任。2007年、クラシック音楽専用の「宗次ホール」を名古屋市内にオープンする。
また、主な受賞として「中部ニュービジネス大賞アントレプレナー大賞部門 中部ニュービジネス協議会会長賞(1994年)」「第6回企業家賞(2004年)」「まちかどのフィランソロピスト賞(2007年)」がある。
◆ 株式会社壱番屋ホームページ
http://www.ichibanya.co.jp/comp/
◆ 主な著書
『日本一の変人経営者』ダイヤモンド社 ¥1,575
解説:
平間 正彦
(ひらま まさひこ)
人材活性化コンサルタント
トニーブザン公認マインドマップインストラクター
全国展開する教育出版社において、最年少支社長として活躍。6店舗を統括し、8年間勤務。2002年10月、子供の無限の可能性を最大限引き出す個別指導塾ドリームスタディを設立。塾の勉強が楽しくて勉強嫌いでも30分前に来てしまう生徒が続出。子供の将来に焦点を当てたワークショップや各種体験講座も開催。地域密着型のオンリーワン個別指導スタイルを確立する。15年間で2000組以上の子供や親の学習面とメンタル面の問題解決を支援。
2006年からは人材活性化コンサルタントとして、若手起業家を中心に心理カウンセリング・ポテンシャルアドバイス・人材育成カリキュラム作成支援、マインドマップを活用したビジョン構築のサポートも行っている。
この対談から学べる!10のポイント
- 若夫婦の喫茶店から世界に広がるFCチェーンへ
- 受け継がれる創業期の価格戦略と経営哲学
- おなかより「心」を満たす商売を
- 最初からパーフェクトを狙わない理由
- マニュアルもシステムも全て手作りに意味がある
- 3年目で目標達成、5年目で地域No.1を目指す
- 値下げをせずにトップを独走し続ける方法
- 市場調査・ライバル調査は一切しない
- 信じるのは自分の直感、耳を傾けるべきはお客様の声
- 上手な事業継承で会社はさらに活性化する
出版最前線 第六回
「ビジネスの視点から見る電子出版と紙の書籍出版 2」
このコーナーでは、経営者であり、数々の著作を生みだしてきた著者でもある主藤孝司が日本出版学会で2010年春季に発表した研究内容に基づき、電子出版がもたらす出版文化の変化について語っていきます。
市場の変化を踏まえ、それによって現在の書籍出版業界がどのように変化していくのか、新しく台頭する個人出版社である「ネオパブリッシャー」の出現、その姿を予見していく内容です。
みなさんこんにちは、主藤孝司です。
前回は、「電子出版が盛んになる時代には、電子出版vs書籍出版という対立構図ではなく、双方が補完関係にある新しいビジネスモデルが主流となっていく」というお話をしました。
今回はこの電子出版と書籍出版の相互補完について述べたいと思います。
電子出版が盛んになるということは、すなわち電子出版のコンテンツ量が膨大になっていくことを意味します。そのような環境では電子出版端末メーカーは、独自性のある、オリジナルコンテンツを今以上に求めてきます。
消滅する運命にある多くの出版社は、この流れの中で電子出版端末メーカー(いわゆる家電メーカーなど)に吸収されていくでしょう。
その現象は、ソニーや松下などの家電メーカーが大手映画会社や音楽会社を傘下におさめていったことと同じ現象です。
彼らはテレビやビデオなどのオーディオ機器で再生すべき自社オリジナルコンテンツを求め、映画会社や音楽会社を傘下におさめていきました。この流れが出版業界でもこれから顕著になってくると思われます。
逆に言えば、コンテンツホルダーとしての出版社にはビジネス的な大きな魅力があるのです。
ですから、書籍の著作権を保持していない、又はその著作権を利用する権利を保有していない版元は無価値と見なされてしまう可能性もありますが、そうでない出版社はむしろ電子出版時代にも大きな意味を担っていくことになります。
もうひとつ、電子出版が盛んになっても紙の出版が消えない理由として、「電子化されたデータの再生の問題」があります。
現実問題として、電子化された情報が100年以上保存可能だという事実はまだこの世の中にありません。いろいろな研究成果や理論は多く存在しますが、実際にそれだけの年数を耐え抜き、実際に閲覧可能だったという事実はまだありません。
しかし写真や書籍などの紙は、すでに100年以上も保存可能ということが事実として証明されています。
もちろん、もっと前のものもありますし、記録媒体が紙以外のものであれば、もっともっと長い年月、保存されていたという事実もあります。
こういった事実を電子化された情報が上回っていくのには、それと同じだけの年数が必要となります。
つまり、100年の持続性を証明するならば、100年の時間の経過が必要になることであり、それに満たない期間でデータを全て電子化してしまうことは壮大な賭けとも言えるのです。
そのリスクを回避するためにも、実際に長期保存が証明されている紙による保存が駆逐されることはないのです。
既存の出版社が電子出版時代にも高い価値を保ち続ける理由、あるいは方法はまだまだたくさん挙げることができます。第2回でも少し触れていますが、次回からは出版社のビジネスモデル、キャッシュポイントの劇的な変化について具体的にお話していきます。お楽しみに。
主藤孝司
株式会社パスメディア代表取締役。創業10年以内の若手経営者を専門とする経営コンサルタント。
(株)リクルート在籍中に5度の表彰を受賞。(株)パスメディア創業後もNTTより全国トップを含む10の表彰を受賞するなど、営業・販売のプロとしての実績も多い。
起業家大学にて、延べ1000名以上の起業家、経営者に直接指導、アドバイスしてきた起業家養成の専門家でもある。企画、プロデュースする起業家大学のオーディオゼミナールや書籍にて取り上げた企業がその後上場を果たした数は既に7社を越える。主な著書・監修書に、『成功の瞬間』(講談社)、『起業家プロの発想力』(成美堂出版)、『図解・1億円ノート』『図解・スピードノート』(三笠書房)など。
福岡大学法学部、九州大学大学院入学。速読のフォトリーディング公認インストラクター。戦略出版コンサルタント。日本出版学界会員。2005年からTBS等在京ラジオ局にてビジネス系ラジオ番組のパーソナリティーを務め、2008年からは.FM放送ラジオ番組「ベストセラーズチャンネル」のゼネラルプロデューサー及びチーフパーソナリティーも務める。
公式ホームページ http://www.sudokoji.com
ベストセラーズチャンネル 今月のゲスト
起業家大学では、.FM放送ラジオ番組「Bestsellers.FM」の中で、ビジネスパーソンや経営者に「読んでもらいたい書籍」を取り上げ、本の著者・編集者を招いて執筆の裏話やより深い話を聞く番組を企画・プロデュースしています。
これまでには、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の山田真哉氏、「鏡の法則」の野口嘉則氏、「ユダヤ人大富豪の教え」の本田健氏、「日本マクドナルド社長が送り続けた101の言葉」の原田泳幸氏など、数多くの方々を取り上げてきました。
今月も、素晴らしい本の著者・編集者の方々にご出演いただき、内容も非常に充実しています。是非、アクセスしてみてください。
朝井 リョウ |
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加藤 陽子 |
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福原 義春・林 望・坂東 眞理子・神田 昌典・梶原 しげる |