起業家大学通信1011



今月のマンスリーリーダー
西村 正宏(にしむら まさひろ)

今回の対談を聞いて、まず驚いたのはもちろん、
技術や製品やサービスの素晴らしさです。
キバンインターナショナルのeラーニングシステムを
収録当日実際に体験しましたが、
これは「学び方革命」と言っても過言ではありません。

しかし、今回のインタビューの中で、
特にこれは起業家として学びのポイントだと感じた部分は、
西村社長の着眼点、決断力、そして、ブレないミッションです。

創業して9年間はソフトの受託開発をメイン事業にして、
仕事依頼は殺到。毎年黒字。
しかし、気づいてみれば月440時間以上、
1日平均約15時間働いている状態。
そのとき、「本当にこのような経営をしていていいのだろうか?
売上も利益も問題ないけれど、
従業員のためになっているのだろうか?
結婚や子育てはできるのだろうか?」と真剣に考えたそうです。

これまでのソフトの受託開発事業をやめて、
松下幸之助が提唱した水道哲学を参考に、
日々の生活で値段を気にしないで使用できるような
「学びの場を提供するeラーニングシステム」を作ろう!

それがキバンインターナショナルの
eラーニングシステムが完成したきっかけです。
世の中の人が喜ぶ
「学びの場を提供するeラーニングシステム」を構築するために、
6ヵ月間売上がなくても給料を払うから作ろう!
もしダメだったら、会社をたためばいい!
西村社長は、当時を振り返り、そう熱く語っています。

更に、キバンインターナショナルのeラーニングシステムは、
従業員20名までの会社は無料で使うことができます。
本当にそんなことが可能なのか?
なぜそのまでサービスする必要があるのか?
この質問に対する答えも、キバンインターナショナルの
創業時のミッションにつながっていました。

全くブレがない西村社長の発想と行動は、
勉強になることばかりです。

私たち経営者や起業家は、
上手く行っていない事業を変更したり撤退することはできます。
しかし、難しいのは今上手く行っている事業を、
5年後、10年後を見た上で撤退をしたり、方向転換をすることです。
それを実行した西村社長の着眼点、決断力、ブレないミッション。
これは、今回の対談を聞く人に知ってもらいたい!
そして、同じ起業家として私も参考にして実行したい部分でした。

キバンインターナショナルのロゴマークの上には
「最高の学びをすべての人に!」と、書いてあります。
書いてあるだけではなく社員全員で実行しているのも、
大きな気づきと発見がありました。

あなたが既に独立をしている起業家であれば、
創業当時のミッションを思い出しながら聞いてみて下さい。
あなたが今から独立をしたい!と考えている
起業家予備軍であれば、
起業して何を実現しどのように社会に貢献していくのか?
などを想像しながら西村社長の話を聞いてみて下さい。

きっと、学びと気づきの深さが違ってくることでしょう。
(平間 正彦)

プロフィール
西村 正宏 (にしむらまさひろ)

株式会社壱番屋 創業者特別顧問
株式会社キバンインターナショナル代表取締役社長。特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアム理事。1971年兵庫県生まれ。
1998年駒澤大学大学院修了(経営学修士)、2008年早稲田大学大学院修了(国際情報通信修士)。
1999年3月有限会社キバンを設立、取締役社長に就任。1999年10月株式会社キバンに改組。代表取締役に就任。2009年04月特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアム理事に就任。
2009年07月、株式会社キバンインターナショナルを設立し、代表取締役に就任。

株式会社キバンインターナショナル
「eラーニングをすべての人に!」をコンセプトに掲げ、オーサリングツール、eラーニングシステム、eラーニングコンテンツ(教材)の開発・販売を行うeラーニング専門企業。毎日の生活の中で必需品として社会をささえる水道・道路・電気・鉄道のように社会基盤(インフラ)として利用されるようなソフトウェアを提供したいという思いと、コンピュータの中心部の基板(マザーボード)の2つの意味から、「KiBAN」と命名。

◆株式会社キバンインターナショナル ホームページ
http://elearning.co.jp/

hiramabu.jpg解説:
平間 正彦
(ひらま まさひこ)
人材活性化コンサルタント
トニーブザン公認マインドマップインストラクター
全国展開する教育出版社において、最年少支社長として活躍。6店舗を統括し、8年間勤務。2002年10月、子供の無限の可能性を最大限引き出す個別指導塾ドリームスタディを設立。塾の勉強が楽しくて勉強嫌いでも30分前に来てしまう生徒が続出。子供の将来に焦点を当てたワークショップや各種体験講座も開催。地域密着型のオンリーワン個別指導スタイルを確立する。15年間で2000組以上の子供や親の学習面とメンタル面の問題解決を支援。
2006年からは人材活性化コンサルタントとして、若手起業家を中心に心理カウンセリング・ポテンシャルアドバイス・人材育成カリキュラム作成支援、マインドマップを活用したビジョン構築のサポートも行っている。

この対談から学べる!10のポイント

  • 設備投資なしでeラーニングははじめられる
  • 官公庁と世界規模の企業がシステムを選択する視点
  • 研究発表の場に賛同者が集まって起業
  • 9年間つづけた受託開発を辞めた決意
  • 4億円のシステムを500万円で作り上げた開発力
  • 企業独自のコンテンツでなければ人材は育たない
  • 20名以下の企業にシステムを無料で提供する理由
  • 社内のコンテンツを簡単にeラーニングに変える方法
  • 塾や予備校がeラーニングを導入するメリット
  • 万人が先生になりうる時代にeラーニングは不可欠


出版最前線 第七回
「電子出版時代に出版社が生き残るためのビジネスモデル」

このコーナーでは、経営者であり、数々の著作を生みだしてきた著者でもある主藤孝司が日本出版学会で2010年春季に発表した研究内容に基づき、電子出版がもたらす出版文化の変化について語っていきます。
市場の変化を踏まえ、それによって現在の書籍出版業界がどのように変化していくのか、新しく台頭する個人出版社である「ネオパブリッシャー」の出現、その姿を予見していく内容です。

みなさんこんにちは、主藤孝司です。
これまで第6回まで電子出版が市場に与える影響やビジネスモデルの変化について大きな流れをお話してきました。
既存の出版社が電子出版時代にも高い価値を保ち続ける理由、あるいは方法。今回からは出版社のビジネスモデル、キャッシュポイントの具体的な変化についてお話していきます。
今回はまず、ビジネスモデルの変化にスポットをあてて解説していきます。
これまでの出版社の収益源は書籍を売った利益、すなわち小売販売による収益を主軸としたビジネルを展開していました。しかし、これら収益源は電子出版の出現で「商品」の小売販売から、「情報」の小売販売へとシフトしています。そこで起こる変化を私は「カラオケボックス化」と呼んでいます。
どういうことかというと、携帯小説やブログ、個人のホームページ、SNSもすべてそうですが、全くの素人が好き勝手に文章を書くわけです。これはカラオケボックスと同じ状態です。カラオケでは音がおかしかろうが、どういう音程で歌おうが、どういう歌詞で歌おうが、とにかく歌としては成立しているのです。そしてその一つ一つが商品として、すでに何人もの人がカラオケボックスからプロデビューしている事実があります。電子出版もこの可能性を十分にもっているのです。
すでに携帯小説の一部を書籍化して、もう何百万部という規模で売れているものもあります。それら素人の小説について、内容をプロの編集者や作家に評価させると、「素人がプロの真似をした作品」と評価されてしまいます。しかし何万部、何十万部というセールスの数字が現実であることに変わりはありません。「赤い糸」や「恋空」など、100万部を超えるミリオンセラーまで、ベストセラーの携帯小説はいくつも出ています。全て元は電子出版なのです。
こう考えると、SNSやブログ、ツイッターなど、出版業界にも「カラオケボックス」ができた事で、どんな文章が下手でもデビューできてしまう時代が到来した。これが、電子出版がひきおこす出版業界のカラオケボックス化という、一番の変化です。

もうお気づきの方も多いかと思いますが、この変化は出版業界に「作家デビューへの登竜門」の敷居を低くする効果をもたらしたのです。このことこそが、出版社が目をつけるべきところです。素人作品があふれ出す中でどのようなビジネスを企て、キャッシュポイントにすべきか。
そういった時代に必要なのが、プロデュースする能力、アレンジ、PR、セールスする能力なのです。デビューするのにふさわしい、最低限の可能性を持っている人をプロがアレンジする、料理する。それで商品になって売れる。これは音楽業界ですでに起こったことですが、まったく同じ事が出版業界でもおこってくるわけです。出版業界にはそのようなプロの「目利き」が求められます。
こういった流れからは、すでに企画力と出版の技術を持ったプロの出版社が、著者デビューしたい人を「教育する」ビジネスが生まれてきます。そうしてこれからの時代は今までとは違った出版文化である「出版実現文化」がスタートしてくるのです。そしてそれを支え、支援していくものとして「出版支援文化」も台頭し、出版実現も出版支援もどちらもがビジネスとして成立してくる時代となっていきます。
このように出版業界に新たに誕生する教育ビジネスについて次回はお話していきます。お楽しみに。

主藤孝司
sudokoji07.JPG株式会社パスメディア代表取締役。創業10年以内の若手経営者を専門とする経営コンサルタント。
(株)リクルート在籍中に5度の表彰を受賞。(株)パスメディア創業後もNTTより全国トップを含む10の表彰を受賞するなど、営業・販売のプロとしての実績も多い。
起業家大学にて、延べ1000名以上の起業家、経営者に直接指導、アドバイスしてきた起業家養成の専門家でもある。企画、プロデュースする起業家大学のオーディオゼミナールや書籍にて取り上げた企業がその後上場を果たした数は既に7社を越える。主な著書・監修書に、『成功の瞬間』(講談社)、『起業家プロの発想力』(成美堂出版)、『図解・1億円ノート』『図解・スピードノート』(三笠書房)など。
福岡大学法学部、九州大学大学院入学。速読のフォトリーディング公認インストラクター。戦略出版コンサルタント。日本出版学界会員。2005年からTBS等在京ラジオ局にてビジネス系ラジオ番組のパーソナリティーを務め、2008年からは.FM放送ラジオ番組「ベストセラーズチャンネル」のゼネラルプロデューサー及びチーフパーソナリティーも務める。
公式ホームページ http://www.sudokoji.com


ベストセラーズチャンネル 今月のゲスト
起業家大学では、.FM放送ラジオ番組「Bestsellers.FM」の中で、ビジネスパーソンや経営者に「読んでもらいたい書籍」を取り上げ、本の著者・編集者を招いて執筆の裏話やより深い話を聞く番組を企画・プロデュースしています。 
これまでには、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の山田真哉氏、「鏡の法則」の野口嘉則氏、「ユダヤ人大富豪の教え」の本田健氏、「日本マクドナルド社長が送り続けた101の言葉」の原田泳幸氏など、数多くの方々を取り上げてきました。
今月も、素晴らしい本の著者・編集者の方々にご出演いただき、内容も非常に充実しています。是非、アクセスしてみてください。


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