起業家大学通信1011


2010年12月号

拡大したがる男、着実に歩む女
男と女の起業スタイルの違いを学ぶ


株式会社カフェリング
代表取締役社長 俣野千秋(またの ちあき)氏


今月のマンスリーリーダー
俣野千秋(またの ちあき)

今回は、起業家大学マンスリーオーディオゼミナールでは珍しい
女性起業家の登場です。

銀座に本店を持つ宝飾メーカー「カフェリング」俣野千秋社長。
女性が活躍する場面が増えているとはいえ、
まだまだ男性社会の色が濃い時代に、
女性起業家がどのようなことを意識して
起業をすればいいのかを語ってくださいました。
女性が今から起業する際のポイントや、
男性が女性をビジネスパートナーとして選ぶ際の男性と女性の
感覚や感性の違いなど、ヒントや気づきが多い対談です。

私がこの対談を聞いて一番感じたことは、
「過去の経験は財産である!無駄なことはない!」という点です。
俣野社長は、中学校2年生のときにテニス部に所属し、
新入生への部活紹介でプレゼンを担当。
どうすればテニス部に入りたいと思ってもらえるか?
このような経験や、独立をする前の営業の経験も、
独立後の大きな財産になっていると言っています。

このお話を聞いて、今の自分の姿や努力が将来の可能性を
広げることにもなるし、可能性を狭くしてしまう可能性もある。
今の仕事をどう捉え、どのように自己成長につなげていくのかが
大事だと感じました。

更に後半部分では、男性と女性の違いについて、
女性起業家ならではのお話が続きます。
女性は男性に比べて、結婚や出産、
仕事の時間、出張など制限が多い。
しかし、制限があるからこそ、
それを女性の強みに変えることができます。

そして、一消費者としての時間が長いからこそ、
消費者の気持ちを数字だけではなく感性や感情で
感じることができる――。

このあたりは、男性経営者やビジネスマンの発想とは違うので、
女性で独立起業を考えている人や女性を職場で抱えている
ビジネスリーダーにも大きなヒントになること間違いなしです。

最後に、「ピンクの法則」ってご存知ですか?
私ははじめて聞く言葉であり考え方でした。
この「ピンクの法則」の答えは、最後の最後に出てきます。
俣野社長のラストメッセージ、お聞き逃しなく。

(平間 正彦)

プロフィール
俣野千秋(またの ちあき)

株式会社カフェリング代表取締役社長
ジュエリーブランド「Cafe Ring」主宰。
1964 年大阪生まれ。29 歳でコンピューターのソフトウェア制作会社を起業し、35 歳でジュエリー業界へ転業。ジュエリーをもっと日常で楽しんでもらいたいという想いから、Cafe Ring を立ち上げる。ライフワークバランスの先駆者で、プライベートでは一児の母でもある。
女性ならではの自由な発想とセンスによるビジネス展開と、日々の幸せや美しいものを大切にする自然体のライフスタイルが多くの支持を受け、注目されている。

◆カフェリング
銀座に本店を構えるジュエリーブランド。直営店4店舗のほか、取扱店は全国84 店舗にのぼる。(2010 年5月現在)国内の路面店では珍しいプラチナ専門として注目を浴びており、世界一のプラチナの産地南アフリカの要人が来日の度に視察に訪れるほど。

http://www.cafe-ring.com/

hiramabu.jpg解説:
平間 正彦
(ひらま まさひこ)
人材活性化コンサルタント
トニーブザン公認マインドマップインストラクター
全国展開する教育出版社において、最年少支社長として活躍。6店舗を統括し、8年間勤務。2002年10月、子供の無限の可能性を最大限引き出す個別指導塾ドリームスタディを設立。塾の勉強が楽しくて勉強嫌いでも30分前に来てしまう生徒が続出。子供の将来に焦点を当てたワークショップや各種体験講座も開催。地域密着型のオンリーワン個別指導スタイルを確立する。15年間で2000組以上の子供や親の学習面とメンタル面の問題解決を支援。
2006年からは人材活性化コンサルタントとして、若手起業家を中心に心理カウンセリング・ポテンシャルアドバイス・人材育成カリキュラム作成支援、マインドマップを活用したビジョン構築のサポートも行っている。

この対談から学べる!10のポイント

  • 進路決めで自分の選択肢を狭めない
  • サラリーマン時代の営業職で身に付けたものは財産
  • 人と違うことをしなくても自分をアピールできる
  • ずっと働きたい女性が会社でしていて得すること
  • 私独立したいと思った時に意識すべき2つのステップ
  • 自分の評価は急には上げられない
  • 転職か独立か? 28 歳の女性からみたメリットデメリット
  • 円満退社できる社内プレゼン法
  • 商品企画をする際にしっておくべき男女のニーズの違い
  • 男女の視点を説く「ピンクの法則」とは?


出版最前線 第八回
「出版業界の新時代
    ~「小売業」から「教育・コンサル業」へ~」

このコーナーでは、経営者であり、数々の著作を生みだしてきた著者でもある主藤孝司が日本出版学会で2010年春季に発表した研究内容に基づき、電子出版がもたらす出版文化の変化について語っていきます。
市場の変化を踏まえ、それによって現在の書籍出版業界がどのように変化していくのか、新しく台頭する個人出版社である「ネオパブリッシャー」の出現、その姿を予見していく内容です。

前回は、「電子出版時代に既存の出版社が生き残るためのビジネスモデル」を考えました。
少しおさらいしてみましょう。電子出版が拡大すればするほど、一般の人々の出版に対する敷居は下がります。すると、たくさんの人に「著者デビュー」できる可能性が与えられます。これが、出版業界で今、成熟期を迎えようとしている「出版実現文化」です。出版という行為は、これまでの「限られた人に与えられた特権的な行為」から、「多くの人が自由に実現できる行為」となったのです。つまり、「出版の大衆化」が電子出版によってスタートするのです。
そして、出版の大衆化が「出版支援文化」をもたらします。今回はこの出版支援文化とそのビジネスモデルについてお話していきたいと思います。
出版社が今起きている変革のなかで生き残っていくためには、この出版支援文化の広がりを見越したビジネス設計を行うことが不可欠です。なぜなら、出版支援文化の広がりによって、出版社のキャッシュポイントが大きく増加するからです。逆に、出版支援市場をビジネスとして広げていかなければ、出版社は生き残れないこととなります。書籍の小売りというこれまでの出版社が展開していたビジネスモデルは、それ単体ではもはや成立しないからです。これは予測や推測くではなく、すでに起こった未来であり、健在化こそしていませんが事実なのです。

今の出版業界は、独占禁止法の除外規定によって自由な価格競争や流通競争が働かない、保護された最後の市場です。その結果、出荷数の半数近くが返品されるという、おおよそ通常のビジネスでは成立しない市場が形成されています。しかしこの保護もあと数年でなくなると言われています。さらに電子出版という業態は先の法律による保護の対象外です。流通と価格が自由化し、他の業界と同じ通常競争のビジネスが展開された場合、現在の返品状況及び業界特有のキャッシュフローでは多くの出版ビジネスは成立しなくなります。今の出版業界は、かろうじて法律の保護と業界特有のファイナンスシステムによって成り立っている(正確には問題の先送りが何十年にもわたってなされている)状態です。

そう考えていくと、今までの出版社のビジネスモデルである「出版物の小売業」はすでにビジネスとして成立していない市場なのです。広告収入モデルはネットに奪われているのは周知の事実であり、新聞とともに雑誌などの広告収入モデルも紙のみでは成立しないしないビジネスモデルとなっています。
つまり、電子出版が起点となり、これまでの出版社の「小売業」または「広告業」というビジネスモデルでは収益を生み出すことができず、それにかわって、出版支援を市場としてとらえていく「出版の方法を教えていくスクール」や「より品質が高く求めている結果を得るために必要なアドバイスを求める」など、「教育業」や「コンサルティング業」が、力のある出版社の収益を支える大きな柱になるのです。

あとはこの変化を受け入れるか受け入れないか。その変化に対応するかしないか、過去の成功にしがみつくか過去の成功を手放すか。こういった決断が求められているのが現在の状況です。次回は、このような新しい時代の流れの読み解き方について、もう少し詳しくお話ししていきます。

主藤孝司
sudokoji07.JPG株式会社パスメディア代表取締役。創業10年以内の若手経営者を専門とする経営コンサルタント。
(株)リクルート在籍中に5度の表彰を受賞。(株)パスメディア創業後もNTTより全国トップを含む10の表彰を受賞するなど、営業・販売のプロとしての実績も多い。
起業家大学にて、延べ1000名以上の起業家、経営者に直接指導、アドバイスしてきた起業家養成の専門家でもある。企画、プロデュースする起業家大学のオーディオゼミナールや書籍にて取り上げた企業がその後上場を果たした数は既に7社を越える。主な著書・監修書に、『成功の瞬間』(講談社)、『起業家プロの発想力』(成美堂出版)、『図解・1億円ノート』『図解・スピードノート』(三笠書房)など。
福岡大学法学部、九州大学大学院入学。速読のフォトリーディング公認インストラクター。戦略出版コンサルタント。日本出版学界会員。2005年からTBS等在京ラジオ局にてビジネス系ラジオ番組のパーソナリティーを務め、2008年からは.FM放送ラジオ番組「ベストセラーズチャンネル」のゼネラルプロデューサー及びチーフパーソナリティーも務める。
公式ホームページ http://www.sudokoji.com


ベストセラーズチャンネル 今月のゲスト
起業家大学では、.FM放送ラジオ番組「Bestsellers.FM」の中で、ビジネスパーソンや経営者に「読んでもらいたい書籍」を取り上げ、本の著者・編集者を招いて執筆の裏話やより深い話を聞く番組を企画・プロデュースしています。 
これまでには、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の山田真哉氏、「鏡の法則」の野口嘉則氏、「ユダヤ人大富豪の教え」の本田健氏、「日本マクドナルド社長が送り続けた101の言葉」の原田泳幸氏など、数多くの方々を取り上げてきました。
今月も、素晴らしい本の著者・編集者の方々にご出演いただき、内容も非常に充実しています。是非、アクセスしてみてください。


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