2012年2月号
~ずっと働きたくなる職場はこうつくる~
アサヒビールの離職率が1%を切り続ける理由
アサヒビール株式会社
執行役員人事部長 丸山 高見(まるやま たかみ)氏
今月のマンスリーリーダー
丸山 高見(まるやま たかみ)
今回のゲストは、アサヒビール株式会社の「人事」のトップ、丸山高見氏です。アサヒビールといえばいわずと知れた大企業ですが、この会社の離職率が毎年1%を下回ることもまた、同社が注目される理由の一つでもあります。
離職率を下げる取組み――と聞いて、あなたはどんなことを想像するでしょうか。
コストのかかる研修?
手厚い福利厚生?
子育て支援や復帰支援?
もちろん、それらの取り組みが離職率を下げる一つの要因になっていることは事実でしょう。
しかし、そのような手厚い待遇や制度を整備してもなお、離職率が常に3割、といった企業は少なくありません。アサヒビールの丸山氏はそれらの「制度」よりも「社風」が大事だとおっしゃっています。そして意外なことに、社員が「ずっと働きたい」と思える組織づくりのポイントは、中小企業でも今すぐ取り入れることのできる工夫や仕組みによるものでした。
例えば、定年後の人材を活用する再雇用制度や、自社の事業領域とは無関係な企業に出向させるなど、人材を育成しつつ、自社への愛着を深めていくための工夫が多く行われています。
企業規模の大小を問わず、「ベテラン」と呼べる人をいかに育て、彼らの力を企業経営に活かしていくかが企業成長のポイントの一つであると言えます。人材が豊富とは言えない中小企業において、その傾向は顕著だと言えるでしょう。もちろん、丸山氏は人事担当者としての立場から「経営者の人間力」についても語っています。社長に対し「この人を“男”にしたい」と思えるからこそ、組織への貢献心が育っていくのだとも言っています。
しかし、「ずっと働きたくなる社風」をつくるために、あの大企業がどんな取組みをしているかを聞いて、自社なりに取り入れていく工夫は検討に値すると思います。是非、この対談を通じて、自社の「社風づくり」について考える時間を少しでもつくっていただけたら幸いです。
(編集部)
プロフィール
丸山 高見(まるやま たかみ)
1977年早稲田大学法学部卒。同年アサヒビール株式会社入社。
営業担当、労働組合専従などを経て、1992年から人事部福祉課長、
1997年人事部次長。1998年から2002年、首都圏本部総務部長。
2002年~2005年、同社子会社であるアサヒ飲料株式会社へ出向し、人事・広報・業務システム等を束ねる企画部長、人事総務部長等を歴任。2005年からアサヒビール社人事部長。2008年執行役員就任。現在に至る。
<会社概要>
アサヒビール株式会社
1949 年設立。ビール業界で首位を誇る総合酒類・飲料メーカー。「すべては、お客様の『うまい!』のために」をスローガンに酒類・飲料の研究開発、生産を行うほか、アートの普及(メセナ活動)などの社会貢献活動にも積極的に参加している。
会社ホームページ:http://www.asahibeer.co.jp/
この対談から学べる!ポイント
- アサヒスーパードライが大成功した本当の理由
- 成果型の人事考課を導入するタイミングとは
- 新人育成とリーダー教育を両立させる方法
- 定年後の人材を120%活用する再雇用制度
- 異業種に配置転換する「社内武者修行」の威力
- アサヒビールから電気メーカーに出向?!
- 組織を復活させるたった一つのアクション
- 社長を男にしたいと社員に言わしめる経営者力
- 組織を育てる人事異動の秘訣
- 経営者が夢を語る前にしなければならないこと
ベストセラーズチャンネル 今月のゲスト
起業家大学では、.FM放送ラジオ番組「Bestsellers.FM」の中で、ビジネスパーソンや経営者に「読んでもらいたい書籍」を取り上げ、本の著者・編集者を招いて執筆の裏話やより深い話を聞く番組を企画・プロデュースしています。
これまでには、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の山田真哉氏、「鏡の法則」の野口嘉則氏、「ユダヤ人大富豪の教え」の本田健氏、「日本マクドナルド社長が送り続けた101の言葉」の原田泳幸氏など、数多くの方々を取り上げてきました。
今月も、素晴らしい本の著者・編集者の方々にご出演いただき、内容も非常に充実しています。是非、アクセスしてみてください。
伊藤 喜之 氏 |
『バカでも年収1000 万円』 |
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藻谷 浩介 氏 |
『デフレの正体』 |
川北 義則 氏 |
『「20 代」でやっておきたいこと』 |
井口 耕二 氏 |
『ステーブ・ジョブズⅠ、Ⅱ』 |
美崎 栄一郎 氏 |
『「結果を出す人」の手帳の秘密』 |